ChatGPTで仕事のメールを整える具体例
「この言い方だと、少しきつく見えるだろうか」「丁寧にしたつもりなのに、やたらと長くなってしまった」
仕事のメールを書いていて、そんなふうに手が止まることはありませんか。伝えたい内容は決まっているのに、言い回しを何度も直しているうちに、思った以上に時間がかかることもあります。
仕事の経験を重ねても、依頼や催促、お断りのメールには気を使うものです。相手との関係や状況によって、ちょうどよい表現が変わるからです。
そんなとき、文章の相談相手として使えるのがChatGPTです。自分で書いた下書きをもとに、「もう少し丁寧に」「要点が伝わるように短く」と頼み、別の書き方を提案してもらえます。
この記事では、仕事でよくある5つの場面について、修正前の文章、ChatGPTへの指示文、修正後のサンプルを紹介します。難しい言葉や特別なテクニックを覚える必要はありません。まずは「このメールを少し整えてほしい」と相談する感覚で読んでみてください。
※以下のメールは説明用の架空の例です。修正後の文章は出力の一例として作成したサンプルで、同じ指示でも回答は変わります。
ChatGPTにメールを整えてもらう基本の頼み方
まずは、自分で書いた文章をもとに頼んでみる
最初から完成度の高い下書きを用意する必要はありません。「何を伝えたいのか」が分かる短い文章で十分です。
ChatGPTへの指示文は「プロンプト」と呼ばれますが、難しく考える必要はありません。例えば、次のように頼めます。
以下のメールを、社外の取引先に送る丁寧で分かりやすい文章に整えてください。内容や事実は変えず、必要以上に堅苦しくしないでください。書かれていない事情や約束は追加しないでください。
[ここにメールの下書きを入れる]
大切なのは、「丁寧にすること」に加えて「内容や事実は変えないこと」も伝えることです。文章を整える過程で、こちらが伝えていない理由や対応予定が加わるのを避けるためです。ただし、この指示を入れても、最後の確認は必要です。
「誰に送るか」「何を伝えるか」「どんな印象にしたいか」を添える
同じ用件でも、初めて連絡する取引先と、毎日話している上司では適した書き方が違います。そこで、次の3点を添えると、希望を伝えやすくなります。
- 相手:取引先、上司、同じ部署の同僚など。
- 目的:資料の依頼、進捗報告、返信の催促など。
- 文体:丁寧に、簡潔に、少し柔らかくなど。
例えば
「普段からやり取りしている取引先への依頼です。丁寧ですが、堅苦しくない文章にしてください」
と伝えます。相手の実名や詳しいプロフィールまで入力する必要はありません。
なお、実際の仕事の文章を入力する前に、会社のAI利用ルールを確認してください。顧客の個人情報や機密情報を含むメールは、そのまま貼り付けず、入力してよい内容かを先に判断しましょう。練習するときは、この記事のような架空の文章を使えば始めやすくなります。
具体例1:ぶっきらぼうな依頼メールを、丁寧に整える
修正前:用件は伝わるけれど、少し強く見えるメール
A社 ご担当者様
打ち合わせで使う資料を送ってください。
10月9日までにお願いします。B社 担当者
用件と期限は分かりますが、相手との関係によっては、指示するような印象になるかもしれません。ここでは、必要な情報を残したまま、依頼の言い方を整えます。
ChatGPTへの指示文と、修正後のメール
指示文の例
以下のメールを、普段からやり取りしている取引先への丁寧な依頼文に整えてください。資料の送付をお願いしたいことと、期限が10月9日であることは明確に残してください。長い挨拶や、下書きにない理由は追加しないでください。件名も付けてください。
[修正前のメールをここに貼り付ける]
修正後のサンプル
件名:打ち合わせ用資料ご送付のお願い(10月9日まで)
A社 ご担当者様
いつもお世話になっております。B社の担当者です。
打ち合わせで使用する資料を、10月9日までにお送りいただけますでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
ポイントは、丁寧にしても用件をぼかさないこと
「送ってください」を「お送りいただけますでしょうか」に変えることで、依頼の印象が柔らかくなりました。件名にも期限があるため、受け取った相手が用件を把握しやすくなっています。
ここで注意したいのは、丁寧さを優先して「お時間のあるときに」などと書き換えないことです。期限がある依頼なのに、いつでもよいように受け取られると、仕事が進まなくなる可能性があります。
相手への配慮と、必要な条件を伝えること。この両方ができているかを確認しましょう。
具体例2:長くなった報告メールを、短く分かりやすく整える
修正前:経緯が長く、結論が後ろにあるメール
課長
Webサイトの更新ですが、昨日はトップページの文章を修正して、その後に画像を差し替えました。リンク先も確認しています。会社紹介ページの文章についても確認しているのですが、まだ確認が終わっていません。全体の公開は10月15日の予定で進めています。トップページは修正が終わったので、10月12日までに内容を確認していただきたいです。
情報はそろっていますが、読み手は最後まで読まないと、自分に何が求められているのか分かりません。
ChatGPTへの指示文と、修正後のメール
指示文の例
以下の上司への報告メールを、結論から読める簡潔な文章に整えてください。最初に確認のお願いを書き、その後に現在の進捗と公開予定を整理してください。必要に応じて箇条書きを使ってください。日付や作業の完了・未完了は変えないでください。件名も付けてください。
[修正前のメールをここに貼り付ける]
修正後のサンプル
件名:Webサイト更新の進捗報告とトップページ確認のお願い
課長
お疲れさまです。
トップページの修正が完了しました。10月12日までに内容をご確認いただけますでしょうか。現在の進捗は以下のとおりです。
・トップページ:文章修正、画像差し替え、リンク先確認が完了
・会社紹介ページ:文章を確認中
・全体の公開予定:10月15日よろしくお願いいたします。
ポイントは、短くしても判断に必要な情報を残すこと
報告メールでは、単に文字数を減らすだけでなく、「読み手が知りたい順番」に並べることが役立ちます。この例では、最初に確認の依頼と期限を置き、続いて進捗を整理しています。
修正後は、作業が終わっていない会社紹介ページまで「完了」になっていないか、公開予定が確定事項として強く書かれていないかも確認しましょう。読みやすくても、状況が変わって伝わってしまっては困ります。
具体例3:返信がない相手への催促メールを、穏やかに整える
修正前:催促したい気持ちが、そのまま出ているメール
A社 ご担当者様
10月5日に送った見積内容の確認はどうなっていますか。
まだ返信がありません。10月9日までに回答してください。B社 担当者
急いでいると、このように書きたくなることもあります。ただ、相手が確認中なのか、メールを見落としているのかは、こちらからは分かりません。
ChatGPTへの指示文と、修正後のメール
指示文の例
以下の催促メールを、相手を責めない丁寧な文章に整えてください。10月5日に送った見積内容について確認したいこと、10月9日までに回答が必要なことは残してください。相手が返信できない理由は推測しないでください。件名も付けてください。
[修正前のメールをここに貼り付ける]
修正後のサンプル
件名:見積内容ご確認のお願い(10月5日送付分)
A社 ご担当者様
いつもお世話になっております。B社の担当者です。
10月5日にお送りした見積内容について、ご確認状況を伺いたくご連絡いたしました。
恐れ入りますが、10月9日までにご回答いただけますでしょうか。本メールと行き違いでご返信いただいておりましたら、申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
ポイントは、柔らかい言い方と明確な期限を両立すること
「まだ返信がありません」という指摘を、「ご確認状況を伺いたい」という表現に変えています。相手を責める印象を弱めつつ、必要な対応は伝わる文章です。
一方で、「お手すきの際にご返信ください」だけでは、いつまでに返信が必要なのかが分かりません。催促することに遠慮しすぎず、期限は具体的に残しましょう。
送信前には、その後に返信が届いていないかも確認します。文章を整えている間に、相手から連絡が来ている可能性もあるからです。
具体例4:引き受けられない依頼への断りメールを整える
修正前:断る理由だけで終わっているメール
A社 ご担当者様
ご相談のあった追加作業ですが、現在ほかの業務が立て込んでいるため、今回は対応できません。
B社 担当者
断る理由は明確ですが、相手からの相談に対するお礼がなく、少し冷たい印象になるかもしれません。
ChatGPTへの指示文と、修正後のメール
指示文の例
以下のメールを、取引先からの依頼を丁寧に断る文章に整えてください。相談へのお礼を添え、今回は対応できないことを明確に伝えてください。対応できる時期は未定なので、別の日程や今後の対応を約束する文章は追加しないでください。件名も付けてください。
[修正前のメールをここに貼り付ける]
修正後のサンプル
件名:追加作業のご相談について
A社 ご担当者様
いつもお世話になっております。B社の担当者です。
このたびは、追加作業についてご相談いただき、ありがとうございます。申し訳ございませんが、現在ほかの業務が立て込んでおり、今回はお引き受けすることができません。
ご希望に添えず恐縮ですが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
ポイントは、できない約束を追加しないこと
断りのメールは、柔らかくしようとするほど、結論が曖昧になりがちです。「対応が難しいかもしれません」では、まだ交渉できると受け取られる可能性があります。今回は引き受けられないと決まっているなら、その点は明確に伝えます。
また、ChatGPTが「来週以降でしたら対応可能です」といった一文を提案しても、実際に対応できる見通しがなければ使えません。配慮のある文章に見えても、自分がしていない約束を加えないことが大切です。
具体例5:遅れを伝えるお詫びメールを整える
修正前:謝罪だけで、今後の対応が分からないメール
A社 ご担当者様
本日提出予定の資料ですが、作成が遅れており申し訳ありません。
もう少しお待ちください。B社 担当者
お詫びの気持ちは伝わりますが、相手には「いつまで待てばよいのか」が分かりません。ただし、新しい提出日が決まっていないのに、適当な日付を書くわけにもいきません。
ChatGPTへの指示文と、修正後のメール
指示文の例
以下のメールを、取引先への丁寧なお詫びの文章に整えてください。お詫び、現在の状況、今後の対応が分かる順番にしてください。新しい提出日と次回の連絡日時はまだ決まっていません。日付や遅延理由を作らず、不足している情報は[要確認:○○]と表示してください。件名も付けてください。
[修正前のメールをここに貼り付ける]
修正後のサンプル
件名:資料提出の遅延についてのお詫び
A社 ご担当者様
いつもお世話になっております。B社の担当者です。
本日提出を予定していた資料について、作成が遅れており、誠に申し訳ございません。
現在も作成を進めておりますが、現時点では提出できる日時が確定しておりません。
[要確認:次回の連絡日時]までに、提出の見通しと進捗をご連絡いたします。お待たせしてしまい恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
ポイントは、謝罪の言葉だけでなく対応を伝えること
このサンプルは、まだ送信できる完成形ではありません。[要確認]の部分について、自分や社内で確認し、実行できる日時を入れる必要があります。
提出日が決められない場合でも、次にいつ状況を知らせるかを決められることがあります。例えば「明日15時までに、提出の見通しと進捗をご連絡します」と伝えられれば、相手は次の連絡を待つ目安を持てます。
ただし、その日時も実行できることが前提です。ChatGPTには不足している情報を見つけてもらい、実際の対応は自分たちで決める。この役割分担を意識しましょう。
思った文章にならないときは、追加で頼めばいい
「もう少し柔らかく」「半分くらいの長さに」と伝える
最初の回答が、希望どおりでなくても大丈夫です。同じ会話の中で、気になった点を追加で伝えられます。
例えば、丁寧すぎる文章が出てきたら、次のように頼みます。
少し堅い印象です。普段からやり取りしている取引先に送るので、丁寧さを保ちながら、もう少し自然な言い方にしてください。
長すぎる場合は、残したい内容も添えると伝わりやすくなります。
依頼内容と期限は残して、半分くらいの長さにしてください。
催促の言い方だけを変えたいなら、次のように頼めます。
返信期限は変えずに、相手を急かす印象を少し弱めてください。
「いい感じにして」でも相談はできますが、「どこを、どう変えたいか」を一つ添えると、修正の方向がはっきりします。
丁寧すぎる表現は、自分らしい言葉に戻していい
ChatGPTが提案した文章を、そのまま全部使う必要はありません。普段のメールでは使わない大げさな挨拶があれば短くし、言い慣れない表現は自分が使いやすい言葉に戻して構いません。
相手との関係や、これまでのやり取りを知っているのは自分です。文章の候補をもらい、自分の仕事に合う形に仕上げるつもりで使うと、無理のないメールになります。
ChatGPTで整えたメールを送る前に確認すること
名前・日付・金額・添付ファイルを確認する
文章が自然だと、内容まで正しいように感じてしまうことがあります。しかし、読みやすさと事実の正確さは別です。送信前には、少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 宛先、会社名、担当者名は正しいか。
- 日付、時刻、金額、数量が元の情報と一致しているか。
- 相手に依頼したい内容や期限が残っているか。
- 「添付しました」と書いたファイルを実際に添付しているか。
- [要確認]などの仮の表記が残っていないか。
下書き自体が間違っていれば、その誤りが修正後にも残る場合があります。重要な数字や日付は、元の資料や予定表と照らし合わせると確実です。
下書きにない理由や約束が加わっていないか確認する
「社内で調整した結果」「担当者が不在のため」「明日中に対応いたします」。こうした文章が追加されていたら、その事実や予定が本当にあるかを確認してください。
特に、断りやお詫びのメールでは、事情を説明する一文があると自然に見えます。それでも、事実でない説明は使えません。自分の意図と違う部分は削除するか、ChatGPTに直してもらいましょう。
会社のルールを守り、入力する情報を選ぶ
会社によって、利用できるAIサービスや、入力してよい情報の範囲は異なります。仕事で使う前に、社内のルールを確認してください。
氏名や会社名を「A社」「担当者B」に置き換えることは一つの工夫ですが、それだけで十分とは限りません。本文に未公開の契約条件や顧客情報が残っていれば、名前を変えても機密情報を入力することになります。
実際のメールを使えない場合は、「取引先に資料の送付をお願いする一般的な例文」のように、個別の情報を含まない形で相談し、必要な内容を後から自分で加える方法もあります。
まとめ:まずは短いメールを1通、整えてもらおう
ChatGPTで仕事のメールを整えるときは、自分の下書きに「誰に送るか」「何を伝えるか」「どんな印象にしたいか」を添えるところから始められます。
依頼なら、丁寧さと明確な期限。報告なら、結論と必要な情報。催促やお断りなら、相手への配慮と曖昧にしない用件。場面ごとに大切な点を伝えると、修正後の文章も判断しやすくなります。
最初から、重要な取引や難しい謝罪のメールで試す必要はありません。まずは機密情報を含まない練習用の短い文章で、「丁寧にしたらどうなるか」「短くしたら何が変わるか」を見比べてみてください。
ChatGPTに文章を提案してもらい、最後は自分で確認して送る。その使い方に慣れることが、メールを書くときの迷いを少し減らす第一歩になります。
